リンパ脈管筋腫症 LAM
limphangioleiomyomatosis
生井裕一先生(2023呼吸器授業)
【概念】
繰り返す気胸と徐々に進行する呼吸困難が特徴的
COPDとの鑑別が必要(らしい)
【定義】
妊娠可能年齢の女性に発症する稀な疾患で、平滑筋様細胞(LAM細胞)が肺やリンパ管などで増殖する疾患
【病因】
癌抑制遺伝子として機能する結節性硬化症(TSC)遺伝子の変異がLAM細胞に検出されKnudsonの2-hit説に該当する がん抑制遺伝子症候群 のひとつ
(孤発性と結節性硬化症関連がある)
【だれ】妊娠可能な女性(初発、診断年齢:20-35歳)
【疫学】
孤発性LAM:145例
結節性硬化症に合併するLAM:28例
本邦での有病率:2人/100万人
【症状】
労作時息切れ
胸部異常陰影
乳び胸水、乳び腹水 リンパ系の機能障害で発見されることもある
【病理】
LAM細胞が、肺(細気管支・血管周囲など)、リンパ節(肺門・縦隔・後腹膜腔)などに増生し、リンパ管新生を伴う。
LAMは、肺が好発部位で、肺では多発性の嚢胞を発生させる。
【検査】
➀血液検査:特異的なものはない
②呼吸機能検査:COPDと同様の所見
③胸部HRCT画像:両側散在性に薄壁を有する嚢胞性陰影。嚢胞壁の厚さは均一で薄く、かつ、周囲の肺組織は正常像を呈する
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④合併
【治療】
LH-RH(リュープリン)療法
両側卵巣摘出術
mTOR阻害薬(シロリムス):肺機能低下を防止、乳び胸水・腹水減少、腎血管筋脂肪腫を縮小 肺移植
【予後】
進行すると呼吸不全。一方進行が軽度で年余に渡り呼吸機能が保たれる症例もある